文章力養成コーチ ゆか先生の「書きまくるトレーニング」 徒然なるまま かきまくれっ!

国語について、そして書くことについて、つづっています。

文章の書き方 基本はhowではなくwhy

2017年3月27日
どうしたら文章が上手に書けるようになるかという質問を受けます。もちろん、仕事としていますから、それに対する回答は何十通りも解説できます。人それぞれの強みを活かした指導もできますし、弱点の克服法もその人の書いた文章を見ればたちどころに分かります。
私は答えるのに必要なので、どんな点で困っているかを伺いますが、このように質問をすると答えられない人が多いのです。「あなたはそれを何の為に書くのですか?」その答えを先に探しましょう。

 

世に溢れるのは書き方ハウツー本


文章の書き方についての本は世の中に沢山ありますし、私も自分の仕事の参考にしようと、何十冊も読み、勉強しました。これにそって書けばあっという間に書けてしまう!という魔法のような本も、コツが何十個もピックアップされている本もあります。
もちろん「型」を勉強することも、コツを一つずつ納得して習得することも大切です。それは、スポーツでもお稽古事でも同じです。「型」を習い、コツを習得する。何かを学ぶ時の基本行動です。「書く」ということもそれで徐々に力を付けていきます。
しかし、それの繰り返しでは解決できない問題があり、そこがクリアになっている人となっていない人とでは、進み具合に驚愕するほどの差ができます。それは「何の為に自分は書くのか」ということを知っているかどうかの差です。

 

スポーツでもお稽古でも同じ


何かが上手くなりたい。これは誰しもが持っている感情です。どうせなら、何もかも上手に出来るようになりたいですよね。英語、料理、スポーツ等々、上達したくて人に習う人は大勢います。
そこで、ただただ「上手くなれるといいなあ」とぼんやり思っている人を想像して下さい。
次に、「私の持っている知識をイギリスでも広める為に英語でプレゼンできる人になりたい」「友達を家に呼んでホームパーティーをした時に、ワッとみんなが沸くようなお料理を作れるようになりたい」「足が悪かった僕でもこうしてサッカーができるようになったことを世界中の病院にいるサッカー少年に見せたい」そんな気持ちを持っている人を想像して下さい。
最終到達地点のイメージがある人とない人、同じレベルからのスタートだとしたらどちらが上達が早いでしょう? 火を見るより明らかですね。

 

howではなくwhy


では、志が高いか低いかが関係しているかといえば、そうでもありません。要は目的ですね。「どうやって書くか」ではなく「なぜ書くか」が分かっていない人は、上達速度が遅いです。
文章に関して言えば、「うまく書けたらいいなあ」というぼんやりした目標ではなく、
・あの上司に突き返されない文章を書く
・相手に一度で伝わる文章を書く
・自分の知恵をスーッと100%伝える文章を書く
など、個々人で目的があるはずです。または
・自分の気持ちを整理し、振り返った時に分かるような文章にしたい。
・将来自分史を残したい。その為のデータを残しておく。
というような、「外」ではなく「内」を向いた目的もあるはずです。外向けにしろ内向けにしろ、なぜ書くかということが決まっていないうちに書く場合、確かに書いてはいるので、書く能力は下がりはしませんが、思ったように上達もしません。その状態で「どうしたら文章が上手に書けるか」と聞かれても、本当に困ってしまいます。子どもの場合は、大丈夫です。学校で教わらないだけですから、私のような私塾の先生に習えばいいでしょう。野球やピアノと同じです。大人の場合がちょっと厄介だなと感じます。長年迷い続けている人が多いような印象です。

 

書きながら考える


あまり立ち止まりすぎるのも考えものです。学びというのは毎日の習慣が大切なので、「とりあえず書いてみる」という方法もありです。書かないより書いた方が良いでしょう。つまりハウツーの方を先に学ぶという方法です。
一文は何文字ぐらいが適切か、句読点はどう打つか、敬語はどう書くか、それもそれで必要なことです。しかし、仕事でもそうですが、なるべく早く方針を決めることが大切です。そうすると、なぜ一文はその字数が良いのか、なぜ句読点はそう打つのか、なぜその敬語を使うのかがはっきり見えますし、その見えた姿形は人によって全くことなるのです。不要なことも出てきますので、『文章を上手に書く999の方法』(笑)なんて本が出来ても、自分に必要かどうか取捨選択して読めるのです。何故書くのかということが分かっていると、本当に「自分の文章」を書く為に必要な技術が自ずと見えてくるのです。
また、毎日書いて、それを習慣化させることについては、波及する好影響もあります。

 

若者は「迷いや足掻き」を、大人は「社会貢献」をテーマに


ブログの場合で、大きな誤解をしているのが「自分を発信する為に書く」という目的です。「書く」のは「発信」行為そのものなので、この目的の置き方が間違っていることになります。何を誰に向けて発信するかということ、できたら具体的な対象と最終到達地点を考えてみましょう。
その為のヒントとして、
・若い人は、迷いや足掻きを書く。後輩の指針になるし、市場調査の対象になる。
・大人の場合は、自分が蓄積したものを社会に還元するつもりで書く。
このことをヒントとしてアドバイスしています。
これらを踏まえつつ、具体的な対象と最終到達地点を考えてみましょう。

 

目的をしっかり持つと、技術を持つことは強みになります。
「目的」と「方法」両方大切ですが、まずはどちらもはっきりさせておくと上達が早いのです。

 

 
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