文章力養成コーチ ゆか先生の「書きまくるトレーニング」 徒然なるまま かきまくれっ!

国語について、そして書くことについて、つづっています。

信頼して放置

2022年11月3日
私の講座では、時々オンラインで保護者会をしています。また各種講演会の時などにもお話しする中で「信頼して放置」という言葉を多用します。
これは子育ての真髄を表す言葉で、とっても大事なことなんですが、親にとっては一番難しいことの一つでもあります。

例えば子供が靴紐を上手に結べなくて困っている時、親が手を貸さないことがものすごく大事です。
もちろん、誰にも教わらず、最初から靴紐を結べる子どもなど存在しませんので、しばらくは方法を教える作業が必要になるかと思います。

この「信頼して放置」は、靴紐に限らず、例えば、学校から帰ってきて一向に宿題をする気配がない時とか、忘れ物が多い時とか、友達とトラブルに巻き込まれている時とか、そういう時にも発動します。
頼ってきた時だけ応じるのです。また「自分でやってごらん。きっとできるよ」と声をかける。

この「信頼して放置」を有効にするためには、二つの背景が必要です。
一つは余裕。もう一つは事前の約束です。

保護者の方に余裕がないと、時間を優先しますから、どうしても先回りしたり、代わりにやってあげたり、解決法を提示したりする方が楽です。そしてそちらに流れてしまいます。
そして、本質的な解決にはなりません。できるようにならないんです。

また完全放置とは意味が違いますので、事前に子供との約束が必要です。
「宿題は何時からやるって決めたの?」
「このテレビを見終わったら」
「了解」
それでいいんです。
テレビを見終わってもまだダラダラしているかどうか、本当に始めるかどうかを見張っている必要はありません。それは叱ることを前提に見張っていることでしょう。全然信頼なんかしていません。子どもはそれを察知します。大人でも自分のことを信頼しているかどうか分かりますよね。子どもはもっと敏感だと考えましょう。

私が大変お世話になっている、東京学芸大学の特任教授、大熊先生とお話をしていると、3cmの我慢という話をよく聞きます。野外のイベントなどで、ちょっとハードなこと、例えば崖を上ることなどに挑戦する時、子どもが怪我をしないように背中を支えるのですが、その時、体には触れないそうです。
倒れてきたら支えるという意味で、3cm離れてしっかり手を構えているそうです。
もちろん落ちてきてしまったら、しっかり受け止めますが、子供が自力でできた時は、さも手を出していない顔をして、一緒に喜ぶそうです。
その3cmの我慢をできるかどうか、やると子供が言ったことを信用し切れるかどうか、親は試されてるようですね。
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