算数の力。答えは3個じゃない「6個のみかんを2人で分ける」
2019年10月4日
算数の感覚は早く身に着けた方がいい
私は国語の教師ですが、大学では小学校の教員養成課程にいたので、全科目について学びました。算数教育だけは、今も昔も早い方が良いとされています。小さいころに数感覚の良い子は、たいてい、成長しても問題処理能力が高いし、いわゆる「頭の切れる人」の印象があります。
ですから、算数の感覚は早く身に着けた方がいいのですが、ただ、やり方を間違えるとなんだかおかしなことになるので注意が必要です。
入試とは関係ない算数の力とは
ここでちょっと自分の子の話をします。小さいころから「数」が好きで、そんなに好きなら、好きなだけ勉強したらよいと、算数を早めに教えました。幼稚園卒園までに2年生の算数を終え、1年生では4年生くらいのの分野まで行ったのですが、掛け算で止まりました。それはなぜかというと、能力的にできなかったのではなく、そのころの頭では掛け算の概念がなかったからです。つくづく指導要綱は子供の成長過程に合わせた順番になっているのだなあと感動したものです(笑)でも「比」の概念が分かってからは、何算でも理解は早かったです。この「比」の概念が、私は最強だと思っています。
で、彼はその後も数学が得意になり、(※好きではないところがポイントです)高校入試もそれで点を稼いでいました。さて、大学入試。やはり、得点できるのが、数学や物理なので、そちらの大学に進むのかと思いきや、土壇場で彼が選んだのは、文系の経済学部。しかも入試に数学も物理も不要(笑)
そして、本当は大好きだという小論文の勉強を始めました。しかも高校3年の秋に!この「秋の文転事件」は、センター試験キャンセルなど、結構な額のムダ金を払いましたが(笑)彼の人生の選択。仕方ありません。いくら得点できるからといって、数学で受験する興味のない学部に行っても仕方がないですよね。
でも結局、文系の経済学部でも、数学はとても重要でした。考えてみたら当たり前ですよね?「経済」なんですもの。大学での数学の試験は、高校で習ったことばかりだから勉強不要とか言って手を抜いていました。もちろん、苦手な科目では苦労していましたが。算数・数学のセンスについては、就職先を見てもこれでよかったのかもね、と思えるくらいのレベルになってよかったなと思います。
さて、何が言いたいかというと、数学者に育てたいのでもなければ、算数の力は結局、人生にその力をどう活かすかであって、「入試」を中心に考えてはいけないということです。
中学入試、高校入試と、算数・数学のウエイトがとても高く、重要視されますよね。算数の力でクラス分けする塾もあるくらいです。でも、あの世界で必要とされる「数の力」は、日常生活で生きる「数の力」とかけ離れている気がするんです。
ドリルはさせない
子どもはドリルが好きです。簡単なものから始めて、自信がつくと、どんどん進みます。進まない子は、レベルがあっていないはずなので、下げれば大丈夫。多分、人間、こうしてこなしていく感じが好きなんでしょう。なので、「公文式」の学習方法はそういうところをついているんだと思います。
好きな子はドリル、させたらいいです。ただし実体験も山盛りにするという条件付きです。
+1って書いてあったら、次の数字を書けばいい
1+1は2、2+1は3。次の数字を書けばいいんだよ。そんな感覚の子は注意です。そんな情報処理感覚でずっと行ってしまいます。そういう子は、計算間違いよりも、単位のつけ間違いなどをしたときに気が付きません。計算結果を疑わないからです。以前教えた子で、太郎さんのお母さんの身長が、162メートル(!)と出ました。正解は1.62メートル。センチで計算したあと、メートルに直すことをしなかったからです。でも、そんなことを思わなくても、今、何の計算をしているのかわかっていれば、お母さんは巨人にならずに済んだはずです。
6個のみかんを二人で分ける。算数的な発想と違う大切なこと
6個のみかんを兄弟二人で分ける。これをドリルで済ませる子と、実体験を伴う子の差は大きいです。ドリル漬けの子は「答えは3」それ以外にないと信じています。でも、実体験を伴う子は「弟はまだ小さいからそんなに食べられない。僕と弟、だいたい2:1。だから4個と2個」という「比」の概念も使いますし、「みかんによって大きさがかなり違う」ことを実際に体験して知っている子はまた分け方が変わるでしょう。さらに「みかんによって当たりはずれもある」なんて経験を積むと、その子の答えはこうです「ママ、これジュースにして。ママも飲むでしょう?」
今日は算数の話をしました。
小学生の算数の相談にも応じます。お申し込みはお早めに。
お申し込みはこちらから