文章力養成コーチ ゆか先生の「書きまくるトレーニング」 徒然なるまま かきまくれっ!

国語について、そして書くことについて、つづっています。

句読点の打ち方「てんで話にならない」

2017年3月9日
みなさんは読点「、」をどこで打っていますか? 「なんとなく」と答えた人は気をつけて! 読点の位置は、読み手の潜在意識に大きな影響を与えます。最後までしっかり読んでもらうためには、読者ファーストで考えますが、内容以外のことで読み手に負担をかけないことが大切です。せっかく内容がよくても「なんとなく読みにくい」が「なんとなく分かりずらい」や「この人の文は読みにくい」とならないように、今日は読点についてお話します。

 

みなさんは、読点はどこに打つと習いましたか?


私はなんと「息継ぎをするところ」と習いましたよ(笑)
このルールだと、息が長く続く人は、読点なしで一文書けそうです(笑)
例えば音声入力だと、一文まるごと読点なしで書くことが出来ますが、あとから手打ちで読点を入力したり、修正したりする際、「読点ってどのタイミングで打つのだろうと」今まで以上に悩むと思います。

実は、読点の位置に関して明確なルール書はありません。しかし、長年小学生の作文を指導していて、私なりに発見したルールがあります。今日はそれを伝授しますね。

 

ルール1 用言に当たるものが来たら、そのかたまりの境目に打つ。


まず、読点の位置で迷ったら、読点を取ってみて下さい。
丁度いいので、この「読点の位置で迷ったら、読点を取ってみて下さい。」を例に取ってみましょう。
まず、読点を取ります。

・読点の位置で迷ったら読点を取ってみて下さい。

では、読点を一つ打ってみましょう。文節ごとにテストしてみますよ。
1 読点の、位置で迷ったら読点を取ってみて下さい。
2 読点の位置で、迷ったら読点を取ってみて下さい。
3 読点の位置で迷ったら、読点を取ってみて下さい。
4 読点の位置で迷ったら読点を、取ってみて下さい。
5 読点の位置で迷ったら読点を取って、みて下さい。
6 読点の位置で迷ったら読点を取ってみて、下さい。

まあこの程度の長さなら、なんとなく分かると思いますが、この「なんとなく」がくせ者です。
その場所で読点を打つルールを言えますか?  説明できるレベルになっていないと、応用ができませんよ。

そこでルール1です。
用言に当たるものが来たら、そのかたまりの境目に打つ

この中で用言(動詞、形容詞、形容動詞)は、「迷う」「取ってみる」です。「迷う」は「読点の位置で迷う」で1セットですね。「取ってみる」は「読点を取ってみて下さい」で1セットです。なので、そこの境目で打つのです。「場面が変わったら打つ」とも言えます。場面が変わるということは、そこで文章を分けてもいいという意味です。

3 読点の位置で迷ったら、読点を取ってみて下さい。

この文は、2つに分けられます。

①読点の位置で迷う。

②そうしたら、読点を取ってみて下さい。

ね。もともと2つに分けられるような境目。そこで読点を打つというわけです。探す方法としてのヒントが「用言」です。

もう一つ例を書きます。

パソコンやスマホが出す「ブルーライト」は紫外線と同じように長い波長の強いエネルギーであるため活性酸素が生じ眼精疲労の原因となります。

後半部分、紫外線と同じように長い波長の強いエネルギーであるため、活性酸素が生じ、眼精疲労の原因となります。
という文を見てみましょう。

「エネルギーである」「生じる」「原因となる」が用言にあたるものですね。そこで、境目に点を打ちます。

パソコンやスマホが出す「ブルーライト」は、紫外線と同じように長い波長の強いエネルギーであるため、活性酸素が生じ、眼精疲労の原因となります。

※初めの「ブルーライト」は、 のあとの読点の意味は、ルール3で解説します。

これも「用言」を境目にして、3つの文に分けられますよね?

①パソコンやスマホが出す「ブルーライト」は、紫外線と同じように長い波長の強いエネルギーである。

②そのため、活性酸素が生じる。

③そして、眼精疲労の原因となります。

 

ルール2 原因と結果の間、理由と結論の間に打つ。


・彼女はとにかく毎日書くことを続けていたら、いつのまにか素敵な文が書けるようになっていた。
・なんだかんだ理由を付けてちっとも甘い物の摂取を減らさないから、彼女はちっとも痩せないのだと私は思う。

〇〇したら、〇〇になった。
〇〇だから、〇〇なんだ。

このように、原因と結果、理由と結論の間に打ちます。

 

ルール3 長い主語の終わりに打つ。



日本で初めての国産テレビアニメとしてアニメ化された『アトム』の第1作は、平均視聴率30%を超える人気を博し、その後、世界各地でも放映された。

この主語が仮に「第1作は」という短いものだったら、そのあとの読点は不要です。

 

ルール4 逆接の言葉の後に打つ。


・そんなことは信じられないと君は言うが、彼女ははっきり見たらしいよ。
・今年の夏は例年より雨が少ないというけれども、私にはそうは思えない。

逆接の「~だが」や「~ども」のあとに打って、その後の文を強調します。話す時にも力が入る部分ですよね。

 

ルール5 読みにくくなったら打つ。


・ここではきものをぬいでください。

有名な例文ですね。
1 履き物を脱ぐ場合「ここで、はきものをぬいでください」
2 着物を脱ぐ場合「ここでは、きものをぬいでください」

この場合は、漢字で書くことで解決しますが、漢字に直すことが難しい言葉が続くときも、読点を打ちます。かたかなが連続する場合も同じです。

 

なお、以上のルールは絶対ではありません。他のルールと混じり合い、変化する場合もあります。しかし「なんとなく」打ってきた人達にとっては、かなり明確な指針になると思います。読む時も書くときも、少しずつ意識してみましょう!

 

 
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