文章力養成コーチ ゆか先生の「書きまくるトレーニング」 徒然なるまま かきまくれっ!

国語について、そして書くことについて、つづっています。

増えるアクティブ・ラーニング型授業。家での対応は?

2017年3月7日
アクティブ・ラーニング型の授業を取り入れる学校が増えています。親の時代にはなかった授業スタイル。
協働作業やディベート型では、積極的な子が有利だと思っている方も多いのでは?
しかし、その力のほとんどは課程で培うものです。
学校では次々と変革が始まっています。どんなところに気をつけたら良いのでしょう。

 

一方的な講義型授業の時代は終わる


先生が黒板を使って授業をし、いくつか質問を投げかけ何人かが答える。家でも学習するようにと、宿題。
日本の学校教育はずっとこのスタイルを取ってきました。
ところが国際的な目線で見てみると、どうも欧米人に太刀打ちできない。
ディベートやディスカッションでは負けてしまう。
これは人種による性格の差以上に、学校教育が及ぼした影響があると判断され、現代はアクティブラーニング型の授業がとても多くなっています。
およそ10年ぶりに学習指導要領が全面的に改訂されますが、アクティブ・ラーニングに関しても、学校教育導入されていくことになりました。
小学校では2020年度、中学校では2021年度、高校では2022年度以降に実施予定です。
そして、私立の中高一貫校や公立中高一貫校に限らず、すでに公立の小学校でも授業に取り入れられています。
みなさんのお子さんの学校でもすでに始まっているのではありませんか。

 

具体的にはどんな授業?


アクティブ・ラーニングの多様な形態で、構造自由度、活動の範囲でのマトリックス図があります。
『アクティブラーニングの実質化に向けて』山地弘起より
これは大学の例ですが、同じようなことをレベルを落とし、小学校でも取り入れられています。
例えば、フィールドワークとしては、学校の外に出て、川に住む生物を観察し、写真を撮り、学校にもどってグループごとにテーマに沿って分析し、発表するというようなものがあります。
また、「漫画は読書か」「給食を残さず食べることは本当に良いことか」など、テーマを決めて討論し合うディベート授業なども行われています。
教員用の書籍では、目次を見るだけでどんなことが行われているか分かります。

国語6年 「段落シャッフル」で筆者の考えを読み取ろう
国語6年 ディベート大会をしよう――○○小学校は給食を廃止すべきである
社会6年 明治維新,私の採点
社会6年 これからの日本を考えよう/歴人召喚-黄金タッグ決定戦-
理科3年 実ができたよ/育ち方すごろく
音楽4年 曲の気分を感じ取ろう/曲の紹介文をつくろう
総合4年 ミニOSTで課題発見!-友達と練り上げる追究課題-

 

評価が問題だ


アクティブ・ラーニングの授業は、テストがありませんし、結果よりも過程にポイントがある場合もあり、評価が難しいのが現状のようです。
アクティブラーニングの評価は「パフォーマンス評価」といいます。
学力の3要素『知識・技能』『思考力・判断力・表現力』『主体性・多様性・協働性』のうち、後半二つについて身についているかを見るわけですが、ただ、アクティブ・ラーニングの形態や内容によって当然パフォーマンス評価の基準は変わります。
テストの『何点』ときちっと目に見える評価と違い、このような実情が評価を難しくさせています。

 

小学校では担任次第、中高では学校次第


となると、だいたい想像はつくと思いますが、教師の力量に左右されます。
また、比較的教師間の情報共有が行われやすい中高では、学校がアクティブ・ラーニングについてどう取り組んでいるのかによるところが大きくなります。
学校については、昨日のブログで書いた通り、学校説明会や学校見学で積極的にアピールする項目となっていますので、受験校選定の差違には、実際に見聞きすると良いと思います。

 

家庭の文化的背景が強く影響する


アクティブ・ラーニングへの関わり方では、積極性というより、その授業形態が好きかどうかが影響しています。
そしてそれは、家庭の環境が大きく関わっています。
参考文献によると、「家に漫画や雑誌以外の本がたくさんある」「大学・短大を卒業した人が家族にいる」などの影響が大きいです。
親の学歴は今更変えられませんが、本の量は増やせます。
また本だけ家にたくさんあっても、読書習慣が身についていなければ意味がありません。
この読書習慣についても、親が読書をするかどうかで、子どもは大きく影響を受けます。
そして、何か問題が起きた時の解決の方法や、話し合いの方法などは、その基礎が家庭で培われます。
問題解決と言っても、大きなものでなくて大丈夫。例えば「いつも忘れ物をするのはどうしてだろう」「玄関が散らかるのはなぜだろう」「どうして口げんかがとっくみあいに発展するのだろう」というような身近な問題で良いのです。
ここでも受動的にならないよう、親が必要以上に口を出すことをやめます。
このような日常の積み重ねで、アクティブ・ラーニングの基礎が出来ていきます。
もうすぐ4月。新入学、新学期の季節です。
よく「当たりだ」「はずれた」などと教師を評価する親がいますが、「だって担任次第なんだもの」と嘆くより、まずは、家庭でできることをしっかり整えましょう。

読書習慣の環境遺伝については、今までブログやメルマガなどで何回か書いてきましたが、また機会をみてまとめてみますね。

 

 

参考文献

『教科横断的な資質・能力を育てるアクティブ・ラーニング 小学校』
上條 晴夫

『アクティブラーニングの実質化に向けて』
山地弘起

『小学校・中学校における「アクティブ・ラーニング」の効果と課題』
ベネッセ

『アクティブラーニング失敗事例ハンドブック』
文部科学省
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