文章力養成コーチ ゆか先生の「書きまくるトレーニング」 徒然なるまま かきまくれっ!

国語について、そして書くことについて、つづっています。

雨の言葉から考える、思考と言語の関係

2026年3月6日
「雨って200種類あんねん」私がこの話をするときに子どもたちにこう言います。
少し大げさかもしれませんが、手元の辞典には90種以上の雨の名称が載っています。(嵐などは別として)

秋しぐれ、寒の雨、五月雨、氷雨、麦雨。
小糠雨、篠突く雨、にわか雨。
送り梅雨、狐の嫁入り、やらずの雨。

季節によって、降り方によって、情景によって、雨は細かく名づけられています。

先日、トリリンガルの受講生に「言語が思考に与える影響」について意見を書いてもらいました。彼は英語を思考言語とし、ドイツ語と日本語を話します。

普段の思考は英語だそうです。「今日はこれとこれをやらなくては」といった実務的な内容は英語で考える、と。

ところが、雨や気候の話題になると、日本語で思考することがあると言います。

「しとしと降っているな」
「ザーザー降りだな」

日本語のオノマトペを使い、日本語で情景をとらえるのだそうです。

英語ではどう表現するのか尋ねると、「ハード」か「ライト」。その強弱の段階で表す、グラデーションの発想だと言います。

どちらが優れているという話ではありません。
ただ、言語が持つ語彙の細やかさは、そのまま思考の細やかさにつながります。

似ている言葉の違いを使い分ける。
文脈にふさわしい語を選ぶ。
微妙なニュアンスを読み取る。

こうした経験の積み重ねが、思考の精度を高めていきます。

私は、母語で深く考える力をとても大切にしています。

外国語を学ぶことは価値あることです。ただ、その理解が本当に深まるのは、土台となる思考が安定しているときです。

国語が十分に育っていないと、算数の文章題でつまずきます。計算力があっても、問題文の意味がつかめなければ式が立てられません。

英語でも同じです。和訳はできても、その内容を深く読み取り、自分の意見へとつなげる力が弱いことがあります。

これは語学力の問題というより、思考の言語がまだ十分に整っていない状態です。

母語で深く考えられる子は、他言語の理解も伸びます。
読む力・考える力・書く力は、教科を越えて土台になります。

私の教室では、小学生から高校生まで、それぞれの現在地からこの「言葉の土台」を整えています。学年や成績に関わらず、今の状態から始められます。急がせることはしませんが、曖昧なままにもさせません。

雨の言葉の豊かさは、日本語が持つ感覚の細やかさの象徴のように思えます。

言葉が変われば、世界の見え方が変わる。
だからこそ、母語で深く考える力を育てることが、すべての学びの支えになるのです。


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