文章力養成コーチ ゆか先生の「書きまくるトレーニング」 徒然なるまま かきまくれっ!

国語について、そして書くことについて、つづっています。

文章は思考を一列に並べたもの

2017年5月10日
文章を書くことは、とっちらかった思考を「一列に」ならべること。文章を書くと思考が整理されるというのは、最終的にはそういうことなんですね。

昨日のブログで「どう書くか」よりも「誰が何を書くか」が大切だと書きました。かといって「どう書くか」は無視して良いかというとそうではありませんよね。もしそうなら私の仕事がなくなってしまいます(笑)今日は「どう書くか」の基本的な考えをお話しします。

 

脳内思考の文字化はまだアウトプットではない


思考の整理法として、ノートやマインドマップを利用している人も多いかと思います。発想法と同じで、この段階では、脳内の思考をただただ文字化している状態です。マインドマップは脳内の思考を文字化しつつ、脳内の状態に配列しなおして視覚化する感じでしょうか。では「文章にする」とはどういう意味があるのでしょう。思っていたことを書き出すだけの状態と何が違うのでしょうか。

 

言葉の違い、位置の違いがプロフィールに与える影響


この「文章を書くと思考が整理されるというのは、最終的にはそういうことなんですね。」という文を見てみましょう。「最終的には」の位置は色々変えられます。そしてそれを置く場所によって、若干、文のニュアンスが変わります。

音読すると、印象の違いにびっくりするでしょう? そして私がこの中から三つ目を選んだのには意味があるというわけです。

確かに、文章は内容が重要。こんな「最終的には」の位置や、また「、」の位置なんてどうでもいいことなのかもしれません。
ところが、この若干のニュアンスの違いが、10回積み重なると、文章のニュアンス全体が違って見えるのです。

そして、さらにこれが、言葉が違うとなるともっと大きな印象の違いをうみます。

これも、数十カ所に及ぶと、書いている人の性格まで透けて見えてきます。例えば、私の受講生でブログを書いている人には、自分のプロフィールに添った言葉を使うように言っています。美に関係する仕事なのにデザインがダサい、料理に関する仕事なのにご飯写真が不味そう。そんなブログは印象が悪いですよね? 同じように、おしゃれなブログを目指しているのに幼い言葉遣いをしたり、親しみやすさが売りなのに漢語の熟語がやたら多かったりするブログがあります。よく「軸」なんて格好いい言葉を使いますが、そこが決まっていないと言い回しも決まらないのはこういうカラクリですね。

 

結論が決まると段落構成が決まる


さきほどは「最終的には」という一つの言葉や、「違い」の言い換えを例に挙げましたが、段落の順番をどうするのかというのはさらに大きく変わります。
例えば誰もが知っている「桃太郎」を例に挙げてみましょう。

構成案1

  1. 桃から生まれた桃太郎

  2. 大きくなって鬼退治を依頼されます。

  3. 犬猿雉の仲間を連れ、鬼ヶ島へ。

  4. 鬼を退治し、宝を取り返し、めでたしめでたし。


構成案2

  1. 鬼を退治し、宝を取り返した桃太郎

  2. 犬猿雉の仲間を連れ、鬼を退治した青年です。

  3. 父と母はなく、おじいさんとおばあさんに育てられたのですが、

  4. 実はなんと、川から流れてきた桃の中から出てきたのです。


これは、結論をどこに持ってくるかによって変わったという例です。

 

本当の読者ファーストとは


私の理想の文章は、結論がしっかりとあり、無駄な言葉も足りない言葉もひとつもなく、段落構成やかな配分まで、全て結論の為に存在する文章です。脱線や余談も結論の為に戦略的に存在するのであればOK。段落の順番も重要です。結論を相手に伝える為にそれは考えられなくてはいけません。もちろんこれは理想論。私にだってなかなか書けません。
でももし、そうやって考えられた言葉達が、前へならえ!とばかりに一列に並び、順番に目に、そして頭に入ってきたらどうでしょう。書き手の思いがひとつの突っかかりもなく、スーッと伝わる。これが読者に負担をかけない読者ファーストの良い文章だと思うのです。

 
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