文章力養成コーチ ゆか先生の「書きまくるトレーニング」 徒然なるまま かきまくれっ!

国語について、そして書くことについて、つづっています。

春の人間関係に疲れた小学生たちへ

2017年4月18日
新しい人間関係に疲れているのは大人だけではありません。春の人間関係に疲れてしまった子どもたちへ、今こそ、古典を。

 

自分探しをする子どもたち


新学期が始まり、ゴールデンウィークに突入するまで、子どもたちは新しい環境に慣れることに必死です。いくら若いとはいえ、新しい担任、新しいクラスメイト、人によっては新しい学校……。大人に置き換えたらかなりしんどい環境ですよね。その中、小さな体で必死にがんばっているのです。

長年子どもたちを見ていて分かるのですが、ゴールデンウィーク明けに体調を崩す子が多いです。特に高学年のお子さんは、新しい人間関係の疲れがどっと出てきます。私はいつも、家庭がそれら不安を受け止める場所になるように保護者の方に伝えていますが、今日は、もう一つ「本」というお薬を処方します。

 

スポーツ選手の本を読んで元気をもらう


読書の傾向を見てみると、いわゆる「伝記」の代わりに、今スポーツ界で活躍をしている選手の本を読む子も多いです。憧れの野球選手やサッカー選手は「夢をあきらめるな」と語っている本は、昔から人気です。最近ですと、ダントツ彼女ですね。

 
浅田真央 さらなる高みへ
吉田順 (著)

彼らが活躍しているのは、夢に向かって頑張ってきたからだというストーリーは、子どもだけでなく大人の私たちにも「できる人には何が備わっているか」を伝えます。
子どもたちはもっと純粋に「ぼくも、私もがんばろう」と思えるわけです。
ところが、春の人間関係に疲れた子どもたちには、彼らの輝きは少しまぶしすぎるのです。
そんな時にこそ、頼りになるのが「古典」です。

 

あえて古典はどうだろう


こんな本があります。

 
逆境に負けない力をつける! こども菜根譚
齋藤 孝 (監修)

菜根譚とは、前集222条、後集135条からなる中国明代末期の古典で、前集は主に人の交わりを説き、後集では主に自然と閑居の楽しみを説いた書です。
この本に何度も助けられたと言う斎藤隆氏が監修し、子ども向けに書いたのが本書。

例えば、
人生は原是れ一の傀儡なり。只、根蒂の手に在るを要するのみ。
一線も乱れず、巻舒自由ならば、行止我に在り。

じんせいはもとこれいつのかいらいなり。ただ、こんていのてにあるをようするのみ。
いっせんもみだれず、かんじょじゆうならば、こうしわれにあり。

という教えを
人生は、運命に振り回されるあやつり人形。
だからこそ、その糸は自分の手で握ろう。

と意訳し、
きみの人生の主人公はきみ自身だよ!

と解説しています。

やはり、古典の言葉の威力は素晴らしいものがあります。
「子どもに『菜根譚』なんて」と思うなかれ。
名言集にある言葉に勇気づけられ、助けられた大人も多いはず。
新しいクラスになじめず、そんな中、時間に追われ、スケジュールに急かされ、自分のことは自分で決めるという行動を見失っている子どもはいませんか?

そういう子どもたちに、「みんなも頑張っているのだから、頑張りなさいよ」というのは酷です。
まぶしいスポーツ選手の活躍も、自分とはかけ離れたことのように感じるでしょう。
そういうときに、悩みを聞いてあげることも大切ですが、高学年のお子さんの場合は、なかなか親に打ち明けず、しかも友人関係などで悩んでいる場合には、いつもの相談相手がトラブルの元凶であるという場合もあります。
そんな時に、心の持っていき方をそっと教えてくれるのが古典の言葉です。

教室経営者病院、薬局の方、子どもが読めるようにそっとこの本を置いてあげてください。
そして、お母さん、もし自分のお子さんがちょっぴり疲れているようでしたら、リビングのテーブルやソファにこの本を。
古典の言葉には人の悩みを救う力があるのです。

 

 
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