文章力養成コーチ ゆか先生の「書きまくるトレーニング」 徒然なるまま かきまくれっ!

国語について、そして書くことについて、つづっています。

アートが次世代のリーダーを作るわけ

2018年9月25日
教育の世界で、最近読んだ本、講演会で聞いた話、さまざまなシーンで「アート」という言葉を耳にする。正直、「また出てきた」という感じ。アートに触れさせることが学力向上につながるという流れだ。

私はずっと、勉学とアートでは脳の使う部分が違うので、そういう意味でいわゆる全能的な人間になるので、学力が引き上げられるのだと思ってきたし、自分の講義ではよく引き合いに出す。写真もそのスライドの1枚だ。

現に私も「国語」や「作文」という完全に左脳型の仕事をしながら、趣味は音楽の鑑賞、演奏と完全に右脳型の趣味を持っていて、まあ、頭が良いかどうかはしらないが、常に心がリラックスした状態にある。そして、多様な友人が多い。

『科学が教える、子育て成功への道』 単行本(ソフトカバー) – 2017/8/19
キャシー・ハーシュ=パセック (著), ロバータ・ミシュニック・ゴリンコフ

https://goo.gl/FQG7Bj

でも子どもを芸術に触れさせることの重要性が大きく書かれているし、

先日受講したNewsPicksアカデミア講義 高濱正伸×藤原和博「クリエイティブ・キッズの育て方」でもアートの重要性が話題に上がった。

https://newspicks.com/academia/about

 

そんな中、京都市立芸術大学の鷲田学長が卒業式で「美術、芸術だけが『人と違って褒められる』ことがある唯一のジャンルです」とお話しされたということが、この本に登場した。

世界一子どもを育てやすい国にしよう 単行本(ソフトカバー) – 2016/8/5
出口治明・駒崎弘樹 (著)

https://goo.gl/KG7h9k

日本の画一的な教育が没個性を生み、それがダイバーシティとは真逆の方向を向いていることで、日本の教育が世界から遅れを取っていることは有名だが、なるほど、確かに美術と芸術は「没個性」では生き残れない。人と違ってなんぼだ。

芸術畑の人たちは、個性的な恰好をしたり、変わった風貌の人が多い。それは、ダイバーシティの中で、生物として優秀だというわけだ。そして、芸術の尺度の中、「違っていい」と育てられた子どもたちは圧倒的な自信をつけ、のびのびと個性を伸ばすのであろう。

先述の「クリエイティブ・キッズの育て方」でも、今を時めく人たちが、ほかの凡人とどこが違うのかという観点で、「集中力」と「圧倒的自信」だという結論に至った。

「人と違っていい」「人と違うのがいい」そう言われ続けた子供たちが、圧倒的な自信をもって、自分の好きなことに打ち込む。芸術に限らず、数学、文学、または趣味の世界、もっと言うなら「好きなこと」にとことん集中したら、それは突出した才能を引き出せるだろう。

そう考えると、一昔前に始まり、いまだに続く中学入試、高校入試、大学入試という「受験勉強」の連続がいかにあらぬ方向を向いているか、ハッと気づかされる。

ましてや、感受性の豊かな10代に、机の上で「いかに正確に解くか」「いかに早く解くか」「いかにして難しく作られた問題の解決策を見つけるか」そんなことに大切な脳細胞を使っている子どもが、世界に後れを取ることになる日本の未来のリーダーを担うとは到底思えない。

講演会などに行くと「中学入試は中学入試でメリットがある」だの「一定期間にあることに集中するのはとても良い機会である」などといういかにも言い訳的な、後付け的な説明も耳にするが、世界を視野に入れると、もう一度その話を正気では聞けない。

人と違うことが認められる「アート」
そこからくる圧倒的な自信。柔軟な考え。そして、自分が他人と違うように、皆も誰一人として同じではないという気づける子どもの方が、学力ではなく「生きる力」がつき、生物学的にも生き残れるのではないかと思う。

 

 
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