文章力養成コーチ ゆか先生の「書きまくるトレーニング」 徒然なるまま かきまくれっ!

国語について、そして書くことについて、つづっています。

国語辞典の選び方

2016年6月17日

小学生のお母さん、国語辞典に迷ったらここを読んでください。

国語辞典の選び方については、毎年問い合わせが来てお答えしておりますが、
長年国語指導をしてきた私の考えをまとめてみましたので、
迷っている人がいたら、是非ここを紹介してください。

1 国語辞典の選び方
2 漢字辞典の選び方
3 電子辞書か紙の辞書か
4 兄弟で1冊ずつ必要か
5 何歳から与えるか

という5つのお話をしますね。

1 国語辞典の選び方

まず、必須条件が二つあります。
1 ルビがふってあるもの
2 教科書体(明朝体でも可)でかかれているもの

辞書なんて、うちにあるので、いいんじゃない?と、大人用辞書を与えても、
ルビがないものは、子どもが一人で調べられません。
「あ、調べたい!」そう思って調べてみたら、意味が読めない……。
そんな意欲を削ぐようなことは避けるべきかと思います。
また、大人用辞書は、意味を調べようと思ったのに、説明を読んでも分からないという事態にもなります。
子どもの語彙のレベルが、そこまで達していないからです。
大人用辞書は、中学生になったころからが良いと思います。

書体ですが、教科書体が理想です。
試しに「心」の文字を引いて調べましょう。
教科書体の「心」は、三画目と四画目が「い」の字のように並んでいます。
それ以外の書体は三画目の点が二画目の頭に乗っています。
絶対に避けたいのは「丸ゴシック体」デザインされているような文字です。
弊害が大きすぎます。
辞書ではあまり見かけませんが、文字のトレーニング帳では時々見受けられるので、注意してください。

この2つの条件さえ満たしているなら、あとは相性です。
しっかり調べたいなら「下村式小学国語学習辞典」(偕成社)、
使いやすさで選ぶなら「学習国語辞典」(小学館)、
百科事典のように発展的に調べられるのがいいなら「くもんの学習国語辞典」(くもん出版)、
ベネッセの「チャレンジ小学国語辞典」などは漢字のトメハネまで載っていて一石二鳥、
「新レインボー小学国語辞典」(学研)は、言葉遊びが欄外に載っていて、読み物としても面白い、
と、各社特色がありますので、ネットではなく、ぜひ、本屋で手に取ってみてください。
字の大きさや挿絵も、子どもにとってはモチベーションに関わるので、重要ですね。

試しに、同じ言葉を引いてみましょう。
どの辞典の説明が自分にしっくりくるでしょうか。
自分の知りたいことを効果的に説明しているかチェックしましょう。

本屋さんに睨まれながらも、じっくりゆっくり選びましょうね。

辞書を買ったあとにすべきことについては、「4 兄弟で1冊ずつ必要か」でお話しします。

2 漢字字典の選び方

基本条件は国語辞典と同じです。
1 ルビがふってあるもの
2 教科書体(明朝体でも可)でかかれているもの

国語辞典と違う点は、書き順や成り立ちについての項目です。
それらが詳しく載っているものがよいでしょう。
トメハネなども詳しく書かれていると良いでしょう。

試しに、自分の名前で使われている漢字をひいてみましょう。
書き順や成り立ちなどが一番わかりやすく書かれているものを選ぶ、という方法が良いですね。
また読めない漢字を引くわけですから、索引が引きやすいものを選ぶのもよいでしょう。
小学生のうちは、部首よりも、音読み・訓読みでもきちんと引けるものを選びましょう。
慣れていないうちは、漢字の部首なんて判別できませんからね。

3 電子辞書か紙の辞書か

小学生のうちは、電子辞書ではなく、紙の国語辞典を買ってあげてください。

本題に入る前に、ちょっぴり大げさな話をしますね。
先日、NHKニュースウオッチ9で、「大宅壮一文庫の危機」の話題を取り上げていました。
その中で、大宅壮一氏が「テレビというメディアは非常に低俗なものであり、テレビばかり見ていると、人間の想像力や思考力を低下させてしまう」と警告した史実をもう一度取り上げていました。
「一億総白痴化(いちおくそうはくちか)」という流行語にもなりましたね。
そして、今、インターネット検索の普及で、「第二次一億総白痴化」になりつつあるというのです。
調べたいことが、何の苦労もなく、パッと出てくるインターネット検索。
この弊害は計り知れません。
「第一次一億総白痴化」が「受け身になることへの警鐘」だとしたら、
「第二次一億総白痴化」は「さらにそれを簡素化することへの警鐘」だと私は考えます。

何しろ「どのように調べたら、そのことが分かるだろうか」という思考が停止してしまうのです。
例えば、失礼ながら、国語辞典を選ぼうと思った時に、「国語辞典の選び方」と検索しませんでしたか?
ここに思考停止があるんですね。
「こういうことは誰に聞いたら分かるだろう」とか「まずは本屋さんに行って、店員さんに聞いてみようかな」などという発想を
すっ飛ばしているんです。
また、選び方を間違えてしまった時も、自分の手順の責任にならない。
そこでも思考が停止しています。
これは、とても恐ろしいことです。

確かに、このご時世、素早く検索する力も必要です。
でもそれはそれで、別のところで身につけてほしい。
せめて、言葉という思考に関わる事柄を調べる時には、紙の辞書を使ってほしいと思います。
最近、国語辞典に載っている言葉の順番が分からない子どもがいるのは、検索に慣れた結果だと思っています。
ちなみに、みなさんは、「不安」と「ファイル」と「分厚い」
どういう順番で辞書に出てくるか分かりますか?

さて、本題です。
電子辞書か紙の辞書か。
最近の電子辞書は確かに便利ですね。
何冊もの辞書が、内蔵されています。
この前は、百冊内蔵なんていう辞書も見かけました。
インターネットでコンテンツを増やせるものもあります。
外国語の辞書では、ネイティブスピーカーの音声が出る物もあり、正しい発音を聞くこともできます。
調べた言葉に関連した語句も、クリックひとつで、次々と調べられます。
慣用句やことわざ、四字熟語、語源、色々な辞書があり、
全て紙媒体で持っている私から見ると、
「これさえあれば、本棚が一気に片付くな~」などと思ってしまいます。

しかし、私はあえて、子どもには(子どもにはです)電子辞書ではなく
紙の辞書を使ってもらいたいです。

電子辞書と紙の辞書では、重さや大きさには大きな違いがありますが、
目的の言葉に達するまでの時間がかなり違います。
しかし、その、一見無駄に感じるその時間にこそ、
大切なプロセスがあると思います。

紙の辞書では、目的の言葉にたどり着くまでには、目が言葉を前後して読みます。
「行きすぎた」「このページにはなさそうだ」
そういう感覚は、紙の辞書を引いた者ではないとわからないことですよね。
また、目的の言葉にたどり着くまでに、かなりの割合で目が寄り道をします。
時には知らない言葉にも出会うでしょう。
なんだか不思議な言葉に出会ったり、
いつも通り過ぎていた言葉に立ち止まったりするかもしれません。

【保護者のメールより】
先生の指導で、段々と辞書を引くことに慣れてきたようです。
たしかに、最初はいやいやながら引いていました。
なかなか探している言葉が見つからなくていらいらしていました。
でも、今は辞書を引く作業が楽しいと言っています。

素敵ですね。
最初から、探している言葉がすいすい見つかる子どもなんて、いません。
そう、紙の辞書は、そこがいいところなんです!
電子辞書は、検索文字さえ間違わなければ、すぐに見つかります。
ところが、紙の辞書は、そういうわけにはいきません。
五十音順で、しかも「言い切りの形」でないと載っていないのです。
そういうところを試行錯誤しながらたどり着いた言葉は、
検索でサクッとヒットした言葉とは、違う行程を経ています。
本当の力になりますよ。
その兆しが「辞書を引く作業が楽しい」という言葉に表れています。

4 兄弟で1冊ずつ必要か

「兄が使っているのを見て、妹もほしがります。別々に買ってあげた方がよいでしょうか?」というような質問も、毎年受けます。
そして、答えはいつも「はい、お願いします」です。

辞書を買ったら、まず、カバーを外してください。捨てて良いです。
そもそも、なぜ、カバーをつけておく必要があるのでしょう?
いつまでも綺麗に使いたいのだと思いますが、申し訳ありません、小学生の辞書は寿命が長くて6年です。
私は5年生の頃から大人用に切り替えても良いと考えていますし、それまでの期間だったら、
毎日使ったとしても、綴じてある糸がほつれるほどにはなりません。
そして、私が次にすべきこととして推奨しているのが、本の天か地(まっすぐに立てた時の上か下)に名前を書くことです。
「わたしだけのたからもの」としてもらうのです。

自分だけの辞書は、兄弟共有のものと、愛着が違います。
国語辞典は、せいぜい2,000円程度です。
ここに投資をすることをしぶるかどうか、もう一度、このページを頭から読んで考えてみてくださいね。

5 何歳から与えるか

直接指導できる私の生徒はいいのですが、そうではない方に、お勧めの本があります。
明治図書「小学校1年で国語辞典を使えるようにする30の方法」(深谷圭助)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4186983003/nihongodeasob-22

教師向けの本ですが、保護者の方にも是非読んでいただきたい本のひとつです。
小学校1年生で国語辞典は早すぎるのでは? と思われるかもしれません。
現在のカリキュラムでは、小学校4年生からの使用を指導するのが良いとされております。
しかし本当にそれでよいのでしょうか?
4年生までの子どもは、自分で調べたい意欲、知りたい気持ちはどうしたらよいのでしょう。
大人はどのように手をさしのべてあげたらよいのでしょうか。
子どもは特別に指導しなくても、自分の好きなこと、知りたいことが載っている事典や図鑑を食い入るように読みます。
その事象について、もっと知りたい、その事象の博士になりたいという気持ちは溢れんばかりです。
国語事典は、言葉の意味だけに限定されず、動植物の名前、自然現象のことなど、百科事典としても利用できます。
はじめに「言葉がどういう順番に並んでいるのか」さえ教えてしまえば、後は放っておくのが一番です。
子どもは大人の想像を遙かに超えて、国語事典を使いこなすようになります。
この本には、実際に国語事典を使いこなしている何人もの小学1年生が登場します。
写真も沢山掲載されています。
そんな写真を見ているだけでも、我が子にすぐにでも国語事典を買い与えたくなる、そんな一冊です。
国語事典を選ぶ際の注意点も載っております。
以上、国語辞典の選び方について、お伝えできることは全て書きました。
質問があれば、できる限りお応えしますので、コメント欄に記入してくださいね。

松嶋有香

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